広島では原爆手当を受給している方が多くいらっしゃいます。これは原爆の影響で通常の生活が困難であったり、原爆に起因する病気やけががある人等に毎月支給されるものです。
この原爆手当は税金が課税されるのか?今まで課税されないという認識でしたがその根拠条文を調べようとしたら意外と苦戦しました。その経緯を書いてみたいと思います。
もともとは、相続税の申告に際して死亡後に入金された原爆手当に相続税が課税されるのか確認しようとしたことが始まりです。相続税は死亡時点で未収のものにもかかります。したがって死亡時点で受給権が確定していた原爆手当も相続税が課税される可能性があると考えました。
そこで、相続税法の非課税財産の中に原爆手当の記載があるか調べましたが見つからず。ではそもそも生前に受給した原爆手当が非課税なのか確認しようと所得税法の非課税収入の中に記載があるか調べましたがやはり見つからず。
いやはや実は課税されるのか!?いや待て最後の手段、原爆手当を定めた法律「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を読んでいくと、46条目に「租税その他の公課は、この法律に基づく給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない」 という条文を見つけました。結局、税法ではない法律によって相続税も所得税も課税されないことを確認することができました。
税務の仕事で「多分こうだろう」とか「こう聞いている」ということをやっているといつか痛い目にあいます。手間でも根拠を押さえる習慣をつけることが大切だと思っています。